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これらのプロジェクトの成果は、採用されたITU-T勧告による簡易工法へ貴重な実証データを提供するとともに、本工法を採用した官民連携のモデル事例として、KDDI財団では、APT加盟国(38か国)を含む世界各国へアピールする取り組みも行っています。本プロジェクトの内容今回のプロジェクトでは、モンゴル側は中央政府、地方政府(アルクハンガイ、バヤンホンゴル、テレジ)、通信キャリア(テレコムモンゴリア)が、日本側はKDDI財団と光ファイバーメーカー等でプロジェクトチームを構成しました。光ファイバーケーブルネットワークを敷設する地域の選択はモンゴル側で実施されました。広帯域アクセスネットワークが整備されていない地区のうち、①遊牧民定住化推進地区、②外気温が摂氏マイナス40~50度を記録する極寒地や砂漠地帯、③近傍に観光資源が存在すること等のいくつかの条件を満たす地区として、ウランバートル郊外の観光地テレジ、ウランバートルから約600km離れた距離にあるアルクハンガイおよびバヤンホンゴルの合計3か所が選ばれました。アルクハンガイ、バヤンホンゴルの敷設工事を先行し、2019年9月上旬に工事を開始しました。工事は極めて順調に進捗し、9月末までにそれぞれの市で完成式典を実施できました。ウランバートル郊外の観光地テレジでも11月に開始した工事は同月中に完了しました。構築された地域ネットワークは、様々な形でのICT利用が可能で、医療・行政・教育、さらには近傍の観光資源を利用したツーリズム強化等、地域活性化に大いに貢献します。過去3か国における簡易工法による敷設工事では、地元のボランティアでも工事が行えることから、建設・運用コストの大幅な低減化の可能性を示しましたが、現地のプロが担当した今回の敷設工事では、前述のとおり、これまでのプロジェクトに比べて工期が大幅に短縮されました。過疎地での低コストソリューションとして、通信事業者にも採用可能な工法であることが証明されました。今後の展望モンゴル政府では、ルーラル地域や遊牧民定住化推進地域において、この簡易工法を広帯域ネットワークを提供するための低コストソリューションのひとつと認識しており、今後この簡易方法で広帯域ネットワークが拡充されていることが期待されています。今回のプロジェクトは、他国でのプロジェクト同様、官民連携やユニバーサルサービス基金(Universal service Fund)を活用したルーラル地域での地域ネットワーク構築モデルの好事例であり、また、DIYを基本とする本簡易工法を採用した低コストソリューションの好事例になります。今後もAPTの国際プロジェクト等を通じて、本簡易工法によるルーラル地域での地域ネットワーク構築提案を進めていきます。モンゴル郊外・テレジ遠景アルクハンガイ風景アルクハンガイ:耐寒試験を実施する山頂と同地の耐寒試験用ケーブル8KDDI Foundation Vol.11光ファイバーネットワーク敷設対象地区プロジェクト関係者一同(バヤンホンゴル)

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