国際協力事業INTERNATIONAL COOPERATIONはじめに2018年、KDDI財団はモンゴルの通信主管庁や通信事業者を中心メンバーとするプロジェクトチームを構成し、国際機関であるアジア太平洋電気通信共同体(APT)に提案した「過疎地域での生活向上を目的とした、寒冷地並びに砂漠地帯における、光ファイバーネットワークの低コストな構築並びに耐寒試験を行うパイロットプロジェクト」がAPTに採択されました。ここでは、本採択に基づき、2019年4月より着手した本プロジェクトについて、ご紹介します。本プロジェクトの特徴ルーラル地域におけるICTインフラ開発プロジェクトの一つとして、モンゴル情報通信庁およびテレコムモンゴリアが主管する本プロジェクトでは、①ITUで勧告化されたローコストな簡易工法と、本工法に最適な細くて耐久性の高い日本製の光ファイバーケーブルを採用して、ルーラル地域に光ファイバーネットワーク構築を行い、②本工法並びに採用された光ケーブルの極寒地での耐寒性能の調査も実施しました。 KDDI財団では、本簡易工法と光ファイバーを採用したパイロットプロジェクトを様々な国の方々と共同実施しています。この工法では「DO-IT-YOURSELF」、専門家でなくとも敷設可能であり、ルーラル地域に広範囲に低価格で敷設が可能です。この簡易工法は、KDDIが長年の海底光ケーブル敷設事業で培った技術を陸上に転用したもので、光ファイバーに十分な強度を持つ外装を持たせることにより、管路を使わず、また、深く埋設する必要もなく、急峻な斜面では単に地面に沿って置くだけ、仮に光ファイバーが何らかの理由により切断されても自分たちでも引き直せば良い、というコンセプトです。この簡易工法と光ケーブルの敷設は、ブータン、ナウル、ネパールでの実績がありますが、極寒地帯/砂漠地帯で実際に敷設された例がないため、初めての実施事例となりました。これらのプロジェクトで構築されたネットワークは、地域ネットワークとしてその地域で保守運用が実施されます。2019年8月に2011年にブータンにて敷設されたネットワークを視察に伺いましたが、地域の方々によってしっかり保守運用が継続されていました。7KDDI Foundation Vol.11本プロジェクトで採用した日本製光ファイバーケーブル(ボールペンと同等の細さでも頑丈で信頼性が高い)極寒地での簡易工法による光ファイバーネットワーク構築プロジェクトモンゴル旧KDDからの国際協力事業を継承し、60年以上に亘り現地の実情を踏まえ、現地の人の立場に立った発想で、途上国を中心とした国際社会の持続的な成長に貢献すべく事業を推進してきました。ここでは、各国での最新の支援状況についてご報告します。~KDDIが培った光海底ケーブル敷設の技術を応用~ブータンでの敷設工事(2011年度)ナウル共和国でのファイバー接続作業(2013年度)ネパール連邦民主共和国での村民ボランティアによる敷設工事(2018年度)
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