過去の戦争の影響もあって、約630万人もの障がい者が暮らしているベトナムでは、教育や医療などの公共サービスへのアクセスに多くの困難を抱えています。その中でも聴覚障がい者は約200万人に及びます。課題解決のため、2023年度からベトナム郵政通信技術科学大学(PTIT)とともに、APTの国際共同事業として「画像認識技術を利用した手話学習システムの研究調査」に取り組んできました。現在は特にAIとコンピュータビジョンを活用したICT技術をもとに、スマートフォンやインターネットブラウザを利用して、手話の辞書を検索したり、自分の手話が正しいかを判定する映像解析ソフトに加え、さらに学習、翻訳するための機能の開発も行っています。この取り組みにより、特に都市部に集中する特別支援学校に通うことが難しい過疎地域に住む聴覚障がい者が、他の地域の人々とのコミュニケーションにより交流を深め、さらに公共サービスへのアクセスの改善による生活の質の向上を目指しています。
持続可能な社会を実現するため、世界各国の障がい者を対象としたこの活動は、文化や教育制度、ICTインフラの違いを超えてさらなる継続的な展開が求められています。